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hexose: 炭素を6つもつ単糖

by member last modified 2007-03-03 15:47

glucose, galactose, mannose, talose, gulose, allose, altrose, idose

アルドース (構造一覧PDF

多くの糖は-oseという語尾をもちます。この中でアルデヒド(aldehyde)基をもつ糖の総称をアルドース(aldose)といいます。炭素6個のアルドースは4個の不斉炭素を持ち、2=16通りの異性体があります。このうちの8つ(L体)は自然界に存在せず、残りの8種についても、D-グルコース、D-ガラクトース、D-マンノース以外はほとんどみられません。

D-Glucose      D-Galactose     D-Mannose

(上はFischer投影法で描かれています。)


D-Glucose: 発見は(暴れん坊)将軍吉宗の頃

alpha-D-glucose グルコースが「ブドウ糖(grape sugar)」と呼ばれるのは、熟したブドウ果汁に多いからだそうです。発見者はドイツの化学者Andreas Marggraf(1747年)ですが、glucoseという名前は1838年にJean Dumasがギリシャ語の「甘い」(glykos)から作り出しました。江崎グリコと同じ語源ですね。不斉炭素を含む立体構造の解明は、20世紀初頭のEmil Fischerを待たねばなりません。フィッシャーさんは、不斉炭素のフィッシャー投影図(構造一覧表にある糖を縦に引き伸ばした描き方)を始めた人です。甘さは、ショ糖を1とすると0.7程度です。

D-Galactose: Gala湯沢ってどういう意味?

alpha-D-galactoseガラクトースの語源はギリシャ語の牛乳(gala)に由来します。乳糖(乳に含まれる)が、ガラクトースとグルコースで構成されるからでしょう。ガラクトース自体は天然に単糖で存在しませんが、糖脂質という形で神経細胞に必須の成分です。一般に糖鎖構造の重要な成分であり、ガラクトースを認識するたんぱく質も多く存在します。とりわけ、脳神経が急速に発達する乳幼児に必須の成分です。ほとんど聞きませんが、和名は「脳糖」なのだそうです。Gala湯沢の語源は、ここをクリック (乳ではありません)。甘さは、ショ糖を1とすると0.3程度です。

D-Mannose: マンナ同様、生命に必須

alpha-D-mannoseマンノースも天然には単糖で存在しません。語源は旧約聖書(のExodus)において神が彷徨える民に与えた食料、マンナ(manna)です。そういえば森永マンナビスケット、という商品がありますが、あれと同じですね。(マンナにマンノースは入っていません。)甘さは、ショ糖を1とすると0.3程度です。

 

そのほかのaldose:

  • allose ...  Protea rubropilosaという植物に含まれることが知られていますが、天然にはほとんど存在しません。そのため希少糖と呼ばれます。
  • idose ... アルデヒド部分がカルボキシル基に変化したイヅロン酸(iduronic acid)が細胞内の糖鎖グリコサミノグリカン(アミノ糖を持つ多糖でGAGと略される)に含まれます。
  • gulose ... 天然には存在しません。glucoseの不斉炭素をひっくり返して得られるため、glucoseの文字をひっくり返してguloseとつけられました。構造一覧表で確認してみましょう。(それなら本当はgulcose?)
  • talose ... 天然には存在しません。
  • altrose ... 天然には存在しません。

(参考 香川産業支援希少糖プロジェクトのページ

デオキシ誘導体:

酸素が足りない糖をデオキシ糖と呼びます。細胞壁の成分として有名なL-ラムノースとL-フコースはそれぞれFishcer投影法で描いたときに一番下にくる炭素(6位)から酸素がなくなったL-マンノースとL-ガラクトースのことです。

  • L-rhamnose ... 6-deoxy-L-mannose
  • L-fucose ... 6-deoxy-L-galactose

ケトース (構造一覧PDF

アルドースに対して、ケト(keto)基、つまり2重結合でつながった酸素をもつ糖をケトース(ketose)といいます。6炭糖のケトースは3個の不斉炭素を含むので2=8通りの異性体があります。L体は自然界に存在せず、D体でも存在するのはD-フルクトースだけでしょう。

D-Fructose

(上はFischer投影法で描かれています。D-FructoseはD-Glucoseと似ていることを確認しましょう。)


D-Fructose:

alpha-D-fructose日本語で果糖というように、fruit sugarの意味です。果物や蜂蜜に多く含まれ、甘さはショ糖を1とすると1.2程度あります。(細かくいうと、βフルクトースが1.8、αフルクトースが0.6です。)よくジュースに「ブドウ糖果糖液糖」とありますが、これはとうもろこしや芋のでんぷんをブドウ糖に酵素で加水分解し、約半分を果糖に変化させたものです。コーンシロップやガムシロップも同様の製品です。砂糖より単価が安く(7割程度)、ブドウ糖が多いぶん控えめな甘さになるので工業的によく使われます。JIS規格では、果糖が50%以上の場合に「果糖ブドウ糖液糖」、50%以下の場合に「ブドウ糖果糖液糖」となるそうです。(甘さ控えめと言ってもカロリーはあります。同じ甘さで比べれば高カロリーなので要注意。)

 そのほかのketose:

  • solbose ... ソルボースのアルデヒドを還元してアルコールにしたものがソルビトール(sorbitol)です。グルコースを高圧で触媒により還元させて作ります。ドイツ語ではソルビット(solbit)、日本での年間消費量が10万トンを超える有名な糖アルコールです。甘さはショ糖を1として0.6程度。ナナカマド(Sorbus属)の実から発見されたため、この名前がつきました。甘味料のほか保湿剤としても使われます。主に、コンビニのおにぎり、歯磨き粉の原材料として利用されています。
  • tagatose ... ショ糖と同じ甘さですが小腸で吸収されにくく、結果としてカロリーが4割程度と低くなるため、人口甘味料として使えます。次のプシコースとともに希少糖ですが、最近になって大量生産の方法が開発され、アメリカでは既に利用されています。日本では2006年に安全性評価がおこなわれ、おそらく食品添加物として市場に出るでしょう。工業的にはガラクトースをアルカリで処理してタガトースに変換します。体内では果糖と同じ経路で代謝されます。
  • psicose ... 希少糖ですが、大量生産の方法が開発されています。ノンカロリーですが、投与するとグルコース同様インスリンを分泌すさせるなどの生理活性を持ちます。(なぜノンカロリーかは調査中。)

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