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What is metabolism?

by member last modified 2007-01-23 15:51

代謝とかメタボロームって何?

細胞内の物理化学反応の総体を代謝といいます。メタボロームとは代謝物の全体を意味する造語です。このウェブサイトは、メタボロームを共同研究する国内ラボの成果をまとめています。


(以下の詳細情報は共立出版バイオインフォマティクス事典で有田の執筆項目「代謝」より、出版社の許可を得て転載)

代謝とは,生体内でおこなわれる物理化学反応の総体,または特定の分子に関与する物理化学反応の総体である.機能の観点から,生命の維持に必須の物質群に関わる基礎/一次代謝(basic/primary metabolism)と,生命維持に必須ではない二次代謝(secondary metabolism)に分けられる.生命に欠かせない核酸,アミノ酸,糖,脂肪酸(それぞれDNA,タンパク質,炭水化物,脂質の構成単位)は基礎代謝物(basic/primary metabolite)とよばれる.また植物に必須のリグニンやセルロースも基礎代謝物に分類される.これに対し二次代謝は,生物種に固有の機能を提供する.抗生物質や生薬など,人間が利用してきた薬効成分はいずれも二次代謝物(secondary metabolite)である.

代謝のパターンは食餌によって決定される.哺乳類の代謝は,タンパク質,糖質,脂質を処理するアミノ酸代謝,糖質代謝,脂質代謝が中心である.さらに反芻動物の場合は,セルロースが共生微生物により分解されて生じる低級脂肪酸を利用できるように適応している.食餌から取り込まれたアミノ酸およびグルコースは肝臓で血中濃度が調節され,骨格筋などで利用される.脂肪酸は血液循環に放出されるか,脂肪組織に蓄えられる.これに対して微生物には,大腸菌のようにグルコースとアンモニアをそれぞれ唯一の炭素源,窒素源とできるものがいる.単細胞生物は,組織による生化学機能の役割分担や連携もないため,摂取した栄養源の割合に応じて遺伝子の発現量を変化させて代謝を制御する.

代謝に関与する物質の種類や数は生物種によって大きく異なる.微生物はたかだか数千種の代謝物しか利用しないが,植物の二次代謝物の種類は二十万を超えるといわれる.代謝物の寿命は生物種や臓器によって異なり,また,代謝流量(metabolic flux)も食餌や外部環境に大きく左右される.多様な代謝の振る舞いを調べるには,関与する遺伝子の発現量や,酵素の量や活性,さらに関与する代謝物の網羅的な計測が重要になる.これらの解析手法はそれぞれ,トランスクリプトーム(transcriptome),プロテオーム(proteome),メタボローム(metabolome)解析とよばれる.

代謝における生化学反応は,酵素(enzyme)によって触媒(catalysis)されている.酵素と結びつく物質を基質(substrate)と呼ぶ.酵素は基質と複合体を形成して基質を生成物(product)へと変化させることで反応の活性化エネルギーを下げ,反応速度を数百万から数億倍に加速する.酵素反応は基本的に平衡反応であるが,その触媒活性は,至適温度,至適pH,特定の代謝物質による機能調節であるアロステリック(allosteric)効果,酵素タンパク質自身の化学修飾や拮抗阻害などにより大きく変化する.また酵素自体の量も,複雑な転写調節により制御され,生命全体として代謝流量が恒常性(homeostasis)を維持する仕組みになっている.

広く普及している代謝マップ(metabolic map)は,上記の種特異性や,局在性,制御機構を大まかに捉え,物質の流れを代謝物間のルートとして定性的に表現したネットワークである.各化学反応には複数の基質と生成物が関与するため,代謝マップは代謝物を頂点(node),酵素反応を辺(edge) とするハイパーグラフ(hypergraph)§になっている.代謝マップは全生物種の代謝を網羅する公倍数的存在であり,生物種ごとの役割や機能を理解するには適切な部分ハイパーグラフを抽出,比較しなくてはならない.こうした部分グラフをウェブ上に視覚的に表現したシステムは代謝パスウェイデータベース(metabolic pathway database)とよばれる.また,種によらない酵素反応の機能分類として,国際生化学分子生物学連合(IUBMB)は,EC番号と呼ばれる酵素反応分類(enzyme classification)を作成している.

 

§ハイパーグラフ…辺が3つ以上の頂点を結びうるグラフ(graph)のこと.


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