植物由来の抗がん剤
これだけ技術が進歩している今の世の中、医薬品はほとんど人工物から合成されているようなイメージをお持ちのみなさんが多いのではないでしょうか?
実は処方薬の約4分の1が植物の天然成分由来です。しかも、抗がん剤についてはその割合はもっと高くなります。
植物由来の抗がん剤
植物由来として知られている抗がん剤に、ツルニチニチ草由来のビンカアルカロイドであるビンブラスチン、ビンクリスチン(商品名エクザール)や、イチイ科植物由来のタキサン系のパクリタキセル(商品名タキソール)、そして以下にあげるリグナン由来の薬剤などがあります。
リグナンとは?
リグナンは多くの植物に存在し、2次代謝物として分類される生理活性物質です。
リグナンの化学構造は、C6-C3単位が1単位となって2つのフェニルプロパノイドとよばれる分子骨格を有しています。このようなとても単純な骨格にも関わらず、これが様々な構造パターンをとることが知られており、その結果、様々な生物活性をもつことがわかりました。例えば、抗がん作用、抗炎症作用、抗菌性、抗酸化性、免疫抑制性などが挙げられます。
リグナン由来の抗がん剤
メギ科ポドフィルム(Podophyllum peltatum)の根から単離されたポドフィロトキシンは、リグナンに属する物質です。
ポドフィロトキシン自体は、毒性が非常に強いため、ポドフィロトキシン半合成体として知られるエトポシド(Etoposide)、テニポシド(Teniposide)およびエトポフォス(Etopophos)が、抗がん剤として、化学療法に用いられています。
その作用機序は、細胞周期のS期後半からG2期の細胞に対して殺細胞作用を示し、DNAに直接作用するのではなく、DNA構造変換を行う酵素であるトポイソメラーゼIIの活性を阻害すると考えられています。おなじく植物由来の抗がん剤であるカンプトテシンも、類似の仕組みで抗がん作用を発揮します。
ポドフィルムが、果実がリンゴに似ているため、メイアップルとも呼ばれており、その毒性から現地では毒リンゴなどともいわれることもあるそうです。
白雪姫が食べた毒リンゴはもしかして、ポドフィルムだったかもしれませんね。
☆参考☆
Saleem M et al., Nat Prod Rep., 2005; 22, 696-716. An update on bioactive plant lignans.
医薬品添付文書情報:ベプシド注(発売元/ブリストル・マイヤーズ株式会社 製造販売元/ブリストル製薬有限会社)
Description and Natural History of the Mayapple (University of Texas Institute for Cellular and Molecular Biology)