桜はなぜ一斉開花するの?
日本のソメイヨシノはみんなクローン
答えから言うと、遺伝的にほとんど均質ということが原因にあげられます。日本に多いソメイヨシノは江戸時代末期に江戸染井村(現在の豊島区駒込)で作られた品種です。親は桜餅に使われるオオシマザクラと、長寿で有名なエドヒガン(彼岸桜とも呼びます)。もともと桜はほとんど結実しないことで有名ですが、ソメイヨシノは稀に結実しても発芽しないらしいです。(これを検証した研究文献は見つかりませんでした。)これはすなわちほとんどのソメイヨシノが挿し木や接木で増えたことを意味しています。全国の桜が体細胞クローンであることが、微妙な気温の変化に従って北上する桜前線の原因だったのです。
マスティング
しかし、話はそれほど簡単ではありません。植物の世界では、同じ種が数年に一度、一斉開花・結実するという現象がよく見られます。熱帯に生えるフタバガキ科の木にいたっては、種間をまたがって一斉開花・結実します。この現象はマスティング(masting)と呼ばれ、今でも植物科学の研究者が原因を探っている大きな謎の一つです。そういえば、海外の紅葉で森全体が一斉に真っ赤になっている場面を見たことはありませんか?あの一斉紅葉もmasting現象の一環といえるでしょう。
参考
- 江戸歴史散歩 (ソメイヨシノ発祥の地が含まれています)
- Koenig WD, Knops JM. "Patterns of Annual Seed Production by Northern Hemisphere Trees: A Global Perspective" American Naturalist, 155(1):59-69, 2000.